HALが小さい頃から現在にいたるまで、我が家は日曜夜は「ダーウィンが来た」を見ている。

ライオンとか、群れで複雑な狩りをする動物って、どうやってお互い意思を疎通するのか、ずっと、すごく不思議だった。

たぶん…

猛烈な数の経験。

狩りのパターンを「方法記憶」(無意識レベル)に叩き込む。

そして、十分な経験を積んで一人前になったら、息を合わせるだけで、仲間と絶妙な狩りが出来るようになるんだ…。

まだ若いライオンが狩りに参加するようになれば、当然、狩りは失敗する。

番組のナレーターは言う。

「若いライオンは我慢できずに飛び出してしまい、狩りは失敗してしまいました。」

でもたいていの場合、先輩ライオンは、若いライオンをしかったりはしない。怒ったりもしない。

ツメで地面に図を書いて説明したりもしない(笑)

失敗した原因を究明して反省させたりもしない(笑)

失敗は当然なのだ。

毎日、毎日、毎日、その、繰り返し、繰り返し、繰り返し。

「スイッチ」は空腹と危機感。

「スイッチ」と「大量のパターンインプット」

『受験脳の作り方』って本には、脳みそとコンピュータの違いについて、あいまいな条件を、似たものとして捉えられるかどうかだ、とういうようなことが書いてあった。

ピッタリ一致しないと処理できないコンピュータでは、実際に狩りをする場合に役に立たない。

コンピュータの場合は、獲物がウサギのパターンは知ってても、キツネのパターンを知らないと、キツネを狩ることができない。獲物の種類と同じだけ、大量の「知識記憶」が必要になる。

脳みそは、獲物がウサギでもキツネでも、似たようなもんだ!と狩ることができる。

似たパターンを、似ていると認識できれば、1つの「知識記憶」のパターンを使って試行錯誤して、「経験記憶」に変換して磨き上げることができる。さらによく使うパターンは無意識の「方法記憶」まで落とし込んでいくことで、狩りはどんどん上手になっていく。ウサギのパターンさえ熟知していれば、工夫してキツネでも、オコジョでも、タヌキでも、狩ることができる。

「脳はあるものごとを記憶するときには、その対象自体を記憶するだけではなく、同時に対象への「理解の仕方」もいっしょに記憶していることがうかがえます。そして、その理解の仕方を応用して、異なるものごととの間に潜む「法則性」や「共通点」を見つけ出して、ほかの対象をより速くより深く理解することができるというわけです。」(『受験脳の作り方』)

『数学に感動する頭をつくる』って本にも、似たような問題を似ていると感じられる数感が育っていれば、覚えなくてはいけない定理は少なくてすむけれど、ピッタリ一致しないと似ていると感じられない数音痴だと、膨大な数の定理の暗記が必要になるって書いてあった。

「普遍文法」って、「数覚(数感?)」と同じで、ものすごく単純で曖昧なものなのかもしれないな。

「似てる」とか「ピンとくる」って感じる部分で重要な役割を果たすモノなのかもしれないな。

数学であれ、英語であれ、その他のどんなことであれ、

哺乳類の脳みその最も効果的な訓練方法は、「スイッチ」と「大量のパターンインプット」。

親が取るべき最良の態度は、

先輩ライオンのように、ただ、ただ、じっと黙って見守って、子どもに膨大な場数を踏ませてあげることなのかもしれないなあ…。

木の上に立って見守るのが「親」、よく言ったもんだね。