獣医志望だったHALにつきあって、ニホンザルを観察していると、驚くほど人間に似ていることに気づく。
オスは、トップの座を争って戦いたいと願っている。
メスは、メス仲間でマウンティングしながら、情報を共有したがっている。
子は、目の前の相手を感心させて、一つずつ、ランキングを上げたいと願っている。
オスとメスと子の欲望は似て非なるものなので、
子を助けたいなら、オスとメスの欲望は横へ置いておいて、子の欲望を満たしてやるのが合理的。
オスとメスと子の欲望を一度に満たそうとすると、いろいろめんどくさいことになる。
でもたぶん…
「幸せ」は欲望を満たしたところにはなくて、
群れのランキングに取り込まれる前の、母と子だけの関係の中にある。
ランキングに取り込まれる前と、ランキングが関係なくなった時に「幸せ」を感じるように出来ているんだ、きっと。
臨死の瞬間も幸福感を感じるらしいし。
優秀な子孫を残すためにランキングに翻弄されるんだけど、ほんとに小さい時と、死の前には、ちゃんと幸せが用意されている。
そういうふうに、出来てるんだね、きっと。