「視覚」とか「聴覚」みたいな感覚、「数覚」を探る本。(普通、こういうのって「数感」って言う気がするけど…)

内容はとっても興味深かった。

興味深かったけど…、やっぱり外国人の科学読み物は読みにくい!

とっても読みにくかったんだけど(文系じゃなくて理系の著者だから?)とりあえず、気になったところだけメモっとく。

一言でいえば、「動物にも人間にも、とても基本的で曖昧でぼんやりした、数の感覚が備わっている。人間は数覚を通して数学を理解する。天才と言われる人たちは、ただ情熱を込めて膨大な時間を数学にささげただけである。」という内容。

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「自然の数覚について
・人間の赤ちゃんは生まれながらに、物体を個別化し、小さな集合に含まれる数を抽出するメカニズムを備えていること。
・この「数覚」は動物にもあり、それゆえに言語とは独立で、長い進化の歴史を持っていること。
・子どもでは、数の推定、比較、数えること、単純な足し算と引き算はすべて、明確な指示なしに自然に現れてくること。
・脳の両半球の下頭頂野は、数量の心的操作を司る神経回路持っていること。」

動物でも赤ちゃんでも、漠然とした数の感覚は生まれつき備わっているらしい。やっぱり「普遍文法」もあるんじゃないのかなあ…。

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「数が色を帯びたり、空間の中でかなり正確な位置を占めたりしている人が、全人口のおよそ5%から10%の割合で存在する。」

これは驚き。そんなにたくさん、そんな人がいるの?10~20人に1人?

「彼ら(特にハッキリ知覚している人)は、しばしば数を、空間的な広がりをもつ領域として知覚しているようだが、それらは解像度が格段に高く、驚くほど豊富な詳細を伴っているようだ。計算家の心の中では、各々の数は、心の物差し上にある一つの点として単に照らし出されるのではなく、あらゆる方向へリンクを張った、算術に関するクモの巣のように見えるらしい。」

へ、へぇ…。

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「14歳の少年、デイヴは、過去や現在のどんな日についても、その曜日を瞬時に言い当てることが出来るが、IQは50に達せず、6歳レベルの読字力で、言葉はほとんど話せない。さらに、デイブは数字をほとんど知らないし、掛け算もまったくできない。」

「デイヴは台所のカレンダーをじっと見つめて、それを記憶から引き出すことに何時間も費やしていることがわかった。理由の一つは、他の子どもと遊ぶことは彼の社会的能力を超えていたからである。デイヴは自閉症だった。絶海の孤島に流れ着いたロビンソン・クルーソーのように、孤独の中で彼の唯一の友達だったのは金曜日や一月だった。デイヴが、少なく見積もっても一日に三時間、カレンダーに向かっていることを考えてみよう。10年間で、彼は10万時間(本には10万て書いてあったけど、これ1万時間だよね?)も極度に集中して訓練したことになる。この膨大な時間は、カレンダーの深い理解と、他のあらゆる領域の知識における相当のギャップの両方を説明できる可能性がある。」

…。

時間数、恐るべし。

「遺伝子にできるのは、数と空間の表象の獲得を助ける脳の構造に、多少のバイアスをかけるくらいがせいぜいだ。しかし、生物学的要因は、数に対する情熱をもとにした学習の力とは、とても比べものにならない。計算の大家たちの多くは、人間よりも数と一緒にいる方が楽しいというくらい、本当に算術に対する情熱が強いのだ。誰であれ、数に対してこれほどの時間をかければ、記憶容量を増し、有効な計算アルゴリズムを発見することができるに違いない。
 この分析から何か教訓を引き出すとすれば、高等な数学というものは、世間が思っているような、完全に演繹的推論に支配され、感情の入る余地などない、無味乾燥の合理的学問とはほど遠い、ということだ。それとはまったく反対に、人間の感情の中でもっとも力強いものである、愛、希望、苦悶、絶望などが、数学者とその友達である数との関係を彩っている。数学への情熱があるところ、才能は、それほど遅れずについてくる。逆に、子どもが数学に対する不安をつのらせてしまうと、この恐怖症が、もっとも単純な数学的概念でさえも根をおろすのを阻むのである。」

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つまり…、赤ちゃんの多くは、人間が好きなんだけど、少数、人間が苦手で数の方が好きな子がいて、人間と遊ぶ代わりに数と遊んでいるうちに天才になる…と。

近年、東大が推薦入学を始めたようだけど、フタを開ければ、理系学部は、数学オリンピックやら物理オリンピックやらの入賞者ばっかりって噂を聞いた。

これって、アレかね…。

AIやら開発するのに、数学者が足りてないから、今まで他の教科で落ちてた数学の天才を救済しはじめたってことかね…?

難関国立大に受かるには、2000時間の数学力が必要。(『現役東大生が伝えたいやってはいけない勉強法』って本では高校数学IからIIIの必要時間を1650時間と見積もっていた)

5000時間やれば、数学者。

10000時間やれば、一流の数学者(ただし、他のことが微妙になる可能性あり)。

…ってこと?

すべては、「スイッチ」と「インプット」、これに尽きるのねぇ…。