元お茶の水女子大学副学長で発達心理学教授の内田伸子氏の本。

HALが1年生の時、近所の人にピアノを習い始めて、その人がたまたまお茶の水女子大学で幼児教育について学んだ人で、「4歳くらいから字が読み書きできる子がいるけれど、ああいうことをさせると、文字に頼ってしまって、五感を研ぎ澄ます機会が奪われるので良くないんです。haruちゃんは私立だけれど、そういうことしてなくてエライですね」って褒められて、へ!?!?っと思った。まさか、子供に字を教えてないことを褒められるとは!!!ずっと不思議に思ってたんだけど、この本を読んで、あ~、このセンセイの学説だったのか~、と5年ぶりに納得した(笑)

内田伸子氏は、珍しく、真っ向から幼児教育反対派。小学校の英語教育も反対派。

「暗記学習や訓練は百害あって一利なし
 幼児期に暗記学習や訓練をさせることは、子どもにとって大変な弊害です。
 一つ目に、子どもを「指示待ち族」にしてしまいます。
 二つ目に、子どもが勉強への興味を失います。」

幼児に文字を教えると、目に見えない感性が育たなくなるから、文字は教えない方がいい、ということらしい。早期教育したって、その後の教育環境が整わなければすぐに追いつかれて抜かれちゃうから、やってもムダだと。そ~なんかな~?イマイチ説得力が薄いような…。た、楽しんでやるならいいんじゃないの…?

「いまの「小学校で英語を必修化しよう」という議論では、英語漬けにすることで、日本語能力は果たして低下しないのかという点が見落とされています。
 小学校は母語の土台を固めるべきときです。どんな必要性から英語を学ばせたいと考えているのか、それに見合う学習内容にきちんとなっているのかを曖昧にしたまま、大切な子どもの時間を使ってほしくないと思います。「英語は早くから始めたほうが英会話に困らない」という素朴信念で、早くから英語学習に駆り立てるために、かえって英語嫌いを増やしてしまいかねないのです。」

本の中では、英会話能力じゃなくて、英語の読解能力の点で、7~9歳で海外移住をした子の成績がいいというデータを出していた。2番目に良かったのは10~12歳のグループ。3~6歳に移住した子だと、母語の土台ができてないところに第二外国語を無理に積むから、読解力が伸びない、という話。
なんか不思議。小さいほどいいんじゃないの?この人の本以外にそんな話は読まなかった気がするなあ。
そもそも、教え子で、3歳から15歳までドイツにいながら読解力がつかなかった教え子がいて、その例を強調して、早ければいいってもんじゃない!と言いたいらしいんだけど、データの引用が「早期教育の否定」ありきのような気もするなあ…。
ま、素人の私が副学長様に楯突いてもしょうがないんだけど。

内田氏は、英語教育は早ければいいってもんじゃないし、子どもに英語教育を週に1時間やったってムダで、英語嫌いを増やすだけ、と言いたいらしい。それはそうなんだろうけど…。

この本の中ではあんまり英語について突っ込んで書いてないんだけど、ネット上で内田氏の資料を見たら、お茶の水中学で追跡調査をして、小学校以前に英語をやってた子と、中学から始めた子の差はすぐに埋まったことが根拠として挙げられていた。まあ、現実問題、2級程度なら中学からはじめても中3で取る子が出て来るよね。その資料に、1年時だけ英語と国語の成績が連動するけど、それ以降は英語と数学の成績が連動するって書いてあった。そうだよね!中学の文法英語って、数学パズルみたいなもんだよね!あと結局のところ家庭学習の習慣がついてるかどうか、みたいだった。

この本は初めに幼児教育や小学校の英語教育の否定ありきで話が進んでる気がするなあ…。じゃあどう工夫したらいいかとか考える余地もないというか…。

だいたいお茶女の中学、四谷大塚の偏差値で68なんですが…。そんなの分母にして中学からで十分!て言われてもなあ…。本の中で小学校受験についても否定してるけど、お茶女の小学校や中学校の受験だって過酷でしょ?

やっぱり否定の証明とか、難しいんだねえ…。